豊富な運動量と抜群のスピードが武器のサイドバック。俊敏性に優れ、1対1に強く上背はないが、大型FWにも競り負けないフィジカルと身体能力の高さを併せ持つ。効果的ドリブル、思い切りの良い飛び出し、そして相手の隙を突いて放つミドルシュートも大きな武器である。守備の文化があるイタリアに渡ったことでカバーリングやポジショニングにも磨きがかかった。
長友をサイドバックにコンバートした明治大学サッカー部の神川明彦監督は、類い希なる能力として「同じミスを繰り返さない知性」を挙げている。元日本代表監督イビチャ・オシムは長友の可能性について「インテルで世界最高の選手たちと練習するだけで大きな進歩がある。下手になりようがない」と明言したように、インテル移籍当初は技術の未熟さや戦術の理解不足を指摘されていたが、知性の高さとずば抜けた吸収力、選手やコーチが感心するほど熱心な練習によって、試合を重ねるごとにプレーがめざましく改善されている。
試合中での献身的なプレーや走行距離に裏付けされた運動量によって、長友がボールを持って走り出すと観客席から大きな歓声が起きることも珍しくない。イタリアのスポーツ紙『ガゼッタ』では長友について「インテルに欠けていた闘争心に飢えている象徴的存在」と評している。
2011年1月、移籍金約2億円でチェゼーナへ完全移籍し、冬の移籍市場の最終日となった1月31日、ダビデ・サントンとのトレードで、インテル・ミラノへのシーズン終了までのレンタルが決定した。背番号は55番。同年2月6日、セリエA第24節の対ローマ戦でインテルでのデビューを飾り、3月6日の第28節ジェノア戦にてセリエA初得点を決めた。3月15日、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦2ndレグのバイエルン・ミュンヘン戦では、途中出場で日本人4人目となるCL決勝トーナメント出場を果たすと、決勝点に絡む活躍でアウェーでの勝利に貢献。準々決勝では内田篤人が所属するシャルケ04との対戦となり、CL初の日本人対決を演じ、2ndレグでは両チーム最長の走行距離を記録し、地元紙から高評価を得たものの、チームはここで敗退。5月22日のリーグ最終節カターニア戦ではリーグ戦2得点目を挙げた。5月29日、シーズン最終戦となったコッパ・イタリア決勝のパレルモ戦では右SBとしてフル出場し、イタリアでの初タイトルを手にした。
2011-12シーズンの始動日となった7月1日、5年契約でインテルへの完全移籍が発表された。シーズン前の7月30日に行われたセルティックFC戦で右肩を脱臼し、1ヶ月程度のチーム離脱が発表され、同年9月に行われたW杯アジア3次予選の代表招集も見送られた。
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