ポルトガルでは年間最優秀選手賞を5年連続で受賞するなど、黄金世代の中心選手として長らく代表を支えてきた選手。キャップ数は歴代最多出場記録となる127試合。そのドリブル技術の高さからマンチェスター・ユナイテッドのライアン・ギグスとともに90年代最高のウイングと評される。
フィーゴのドリブルの最大の特徴は選手に比べてインサイドを多様してボールを懐深くに置いてることにある。アウトフロント3回にインサイド1回ぐらいの比率で、ロッベンのような直線的に一瞬の加速を連続させて突破をする選手とはまさに対照的。
曲線的にボールを運ぶ際に一定のリズムを刻むことはなく、滑らかに変則的。この中盤の選手のボールコントロールのようなドリブルはスピードを上げれば上げるほどドリブルを成立させる為の継ぎ接ぎ作業が難しくなるが、それをいとも簡単にやってしまうのがフィーゴのドリブル技術の高さで、その連続性がとてもスリリングでタイミングの掴みづらいドリブルとなっている。
よくマラドーナに象徴される突破の一瞬に神懸かりなボールタッチをする選手のドリブルを形容して、ボールが足に吸い付いてるよう、という、ドリブルの精度をいわしてもらえばフィーゴこそこの形容に相応しい選手だといえる。
つまりフィーゴは他の選手に見られるボールを奪われるか突破するかの勝負をしていない。
突破に関しては足腰の強さ、もっといえば体幹筋の強さが際立つ。その最もの例がシザース。シザースとは跨ぐフェイントではなく上体フェイント。原理は、右足でボールを跨ぐと上半身は左側に向き、しかし重心は跨いだ右足にある。また逆も同じ。この意味を理解しなければシザースはただ棒のように突っ立ってる人間がボールを跨ぐ動作にすぎない。しかし、フィーゴはこの動きが素晴らしく洗練されている。まず大腿筋が強いので下半身の動きは基本的に速いが、それに対応する強い体幹筋が他に例を見ないぐらいタイトに上半身を連動させて、精確にフェイントを連続させている。
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