特別なフィジカルや目を見張る技術は持ち合わせていないが、天性のポジショニングの良さや飛び出しの類まれなるセンス、高い反応速度でピンポイントでボールに合わせる。フィニッシュ以外はほとんどプレーに携わらず、ラストパスにだけ抜群の反応を見せてワントラップでシュートを決めるその姿は、「ワンタッチの天才」と称されることもある。相手ディフェンスのスペースを見付けて入り込む才能は現代サッカーを代表するストライカーとしては異端とすら言われる。美味しいところをかっさらうイメージが強いが、そのゴールは何本もの動き出しや、相手DFとの駆け引き小競り合いなどの「仕込み」あってこそのもので、「彼1人見ているだけでも面白い」という意見もあるほど。実際名手揃いのACミランにおける試合中は常に周囲の動きを注視し、彼のスタイルを最大限に生かせるスペースを探っているようにも見える。オフサイドラインを抜け出しての独走とこぼれ球を押し込む、というゴールのイメージがステレオタイプとしてあるが、強くはなくとも上手いヘッドや豪快なミドルなど、そのゴール数に見合ったバリエーションも持っている。オフサイドの数が多いほど調子が良いと言われ、何回オフサイドを取られても1点を決める事に全力を注ぐ。そのプレースタイルから「オフサイドライン上で生まれた男」と呼ばれる。常にファールを貰うことを狙っており(特にペナルティーエリア内)、相手DFに対して苛立たせる行為を手段としてとっていたり、シミュレーションを貰おうとする姿勢も彼のプレースタイルの一つと言える。その一瞬のスキを突くプレースタイルは元フランス代表CBのデサイー曰く、「インザーギとの対戦はまるで悪夢だった」と言わしめるほどである。
インザーギの通算300ゴール達成時点での内訳は、カテゴリーではセリエA145、B28、C1で13。代表25、アンダー21代表3。コッパ・イタリア15、欧州カップ66、(伊、欧)スーパーカップ3、クラブワールドカップ2。内容は右足123、左足79、頭63、PK17、「脚」14、FK3、肩1。ヒザや太ももなど「脚のどこか」で泥臭く14点も取っているのが特徴的である。欧州カップ戦でも史上最多の70得点を誇る。
ファビオ・カンナヴァーロは自身が作成した優秀なフォワードベスト3にインザーギを挙げ、理由については「抜群に鼻(得点感覚)が利くからさ。ACミランというビッグクラブで長年にわたって得点を量産することは並大抵のことではない…。脱帽だよ」と語っている。
マンチェスター・ユナイテッドFC監督のアレックス・ファーガソンは、オフサイドラインを上手く突破するインザーギについて「オフサイドポジションで生まれた男」とコメントしている。またヨハン・クライフは「彼はサッカーをまったくしていない。ただ常に的を射た場所にいるだけだ」、ゲルト・ミュラーは「彼がしている事の全てはゴールを決めることだ」とのコメントを残している。
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