1970年代のドイツを代表するストライカー。抜群の得点感覚とポジショニングで泥臭いゴールを得意とし、どんな体勢からでもゴールを奪った。驚異的な数の得点を量産し『デア・ボンバー(爆撃機)』と呼ばれた。
観客からすれば面白いとはお世辞にも言えないプレーをした。ボール扱い、ドリブルなどは高校生レベルだと話すドイツ人もいる程、下手であったと言われる。しかし、「ゴールへの嗅覚が鋭い」という表現が正にそのまま当てはまる選手で、何故かゴール前の彼の所にボールが集まってくるのである。ミュラーは特にペナルティエリア内でゴールを背にし、相手DFにコースを消されているときでさえ、比類のないすばやさで下半身を反転させ、左右どちらの足からもグラウンダーのシュートをゴール隅にたたきこんだ。また、決して高いとはいえない身長ながらも抜群のポジション取りによって、多くのヘディングシュートも決めることができた。
その特異なプレースタイルのため、サッカー界屈指の理屈屋であるヨハン・クライフをして「作戦が通用しない」と言わしめた。
数字上の記録(得点数)もさることながら、74年のW杯決勝、オランダ戦の決勝ゴールに代表されるように大舞台での勝負強さも持ち合わせていた。「FWの仕事は得点を挙げること」を体現した選手であり、史上最高のストライカーが誰かを論ずる際に必ず名前が挙がる選手である。
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